北澤美術館所蔵「ルネ・ラリックの香水瓶 アール・デコ、香りと装いの美」渋谷区立松濤美術館
- 2018/01/12
- 09:07
アール・ヌーヴォー、アール・デコ期のガラス工芸作品、特にエミール・ガレの作品を所蔵する長野県諏訪市にある北澤美術館の所蔵品から、ルネ・ラリックの香水瓶を中心にしてラリック社の歴史とルネ・ラリックの隆盛期のアール・デコ期のドレスやファッション・プレートにファッション・ポートレイト約15点ほどを神戸ファッション美術館の協力を得て、アール・デコ期紹介しています。
ラリックといえばガラス作品ですが、アール・ヌーヴォー様式の宝飾デザイナーとして活躍していました。そのジュエリー時代からガラスをを用いていましたが流行の変化によってラリックのデザインは装飾過多な時代遅れの評価をされていましました。ガラス作品に活動の軸を移すのは工場の経営者に転進した50歳を過ぎてからです。そして、ラリックをガラス制作の地位を位置づけたのは香水のコティ社の依頼を受けた香瓶でした。ラリックの香水瓶は人気を博しラリックスタイルはブームを生み出しました。ラリックの生み出した繊細な表現を可能にした技術は宝飾デザイナー時代の金属細工の技がガラスの鋳型に活かされた為です。
地下展示室ではコティの出会い、香水メーカーとのコラボと文章で言うと段落ごとに展示ケースにてラリック作品が展示されています。ラリックの歩みを紹介した後に多彩なデザインを可能にした様々な技術毎に展示が進みます。張り合せ、ラリックが開発し特許を取得した型吹きプレス同時形成、続いてデザインでわけての展示でラリック独特の瓶の形である扁平、繊細な彫刻的な造形、同形のヴァリエーション見比べ、ティアラ形、アイテムでわけて、手鏡などの化粧道具、印章、アクセサリー、ルームフレグランス、蓋ものとラリックの小さく美しい世界を堪能できます。展示室入り口には作品リストと技法の解説のリーフレットがありますので、特に技法ついての解説は作品鑑賞に役立つと思います。
2F展示室では前半は引き続き技法とスタイルによってラリック作品を紹介しています。世界大恐慌によって香水瓶のデザインの指向性もかわりシンプルなデザインになります。また、ユーモアの精神を素直にデザインに落とし込んでいます。お化粧のパフをそのまま柄としたり、ラリックの大の猫好きからの猫もの、ギリシア神話の半人半獣なサテュロスの顔が蓋のデザインとなっており、長い顎ひげが香水瓶棒となって香水を肌に付ける、その行為に好色な性格をもったサテュロス神を現している作品も展示されています。
後半はラリックの活躍したアール・デコの時代を知っていただく展示となっています。神戸ファッション美術館所蔵品とラリック作品を取り合わせています。イブニングドレスが三点ほど展示されています。豪奢なオリエンタルリズム溢れるサルエルパンツはアールデコの先がけのポール・ポワレ、デコ期の服飾デザインの特徴のバイヤスカットを生み出したマドレーヌ・ヴィオネは今回はバイヤスカットではない直線裁ちにビーズ刺繍のデザインですが1920年代を代表するウエストをマークしない長方形のシルエットのイブニングドレス、1930年代の流れるような女性のラインのロングドレスはジャンヌ・ランヴァンです、大胆にあいた背中が印象てきです。最期は1932年に開催されたアール・デコ博覧会とラリックの関わりを紹介します。出展品の中から花瓶を、この博覧会のメインビジュアルであったルネ・ラリックのガラスの噴水塔を資料で展示されています。電気による明かりが普及しはじめ噴水のライトアップにより博覧会の強い印象を残しました。この博覧会をご覧になった朝香宮ご夫妻から現在の東京都庭園美術館の正面玄関のラリックのガラスレリーフへの繋がりを紹介しています。
日本のアール・デコ建築入門
北澤美術館所蔵
「ルネ・ラリックの香水瓶 アール・デコ、香りと装いの美」
渋谷区立松濤美術館

会期 2017年12月12日(火) 〜 2018年1月28日(日)
開館時間 10:00 〜 18:00(金曜のみ20時まで)
最終入館はいずれも閉館30分前まで
休館日 5月15日(月)
入館料 一般 500円、大学生 400円
高校生・60歳以上 250円、小中学生 100円
※土・日曜日、祝休日は小中学生無料
※毎週金曜日は渋谷区民無料
※障がい者及び付添の方1名は無料
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